
わたしがバーテンダー歴40年以上の師匠や他の先輩方に、実際に行われていたと伝え聞いたハイボールを書き残しておきます。
今はほとんど誰もできていない、本物の”こうべスタイル”のハイボールの作り方も記載。
氷がない時代!?超オールド・オールドスタイルのハイボール

数年前に閉店してしまった、地方都市の老舗バーのお話です。
そこでは、近年になっても当時と変わらないスタイルでハイボールをつくっていました。
当時のつくり方と特徴
• ウイスキーは常温のまま
• 炭酸水も常温のまま
• 氷は入れない
• 分厚いグラスをつかう

冷蔵庫がなく、氷もとても貴重だった時代の名残ですね。
いちどお店に伺おうとしたのですが、あいにくの定休日。今でも「飲んでみたかったなあ」と思い出す、幻のハイボールです。

1980年代の主流のオールドスタイルのハイボール

もう少し時代がすすむと、分厚くつくったシンクに氷水をはり、そこでソーダを冷やすようになります。
(80年代ごろまでは、このスタイルが多かったそうです。)
当時のつくり方と特徴
• スペースの都合で、ウイスキーのボトルは冷やさない
• 今は8オンスが主流だが、当時は大きめの10オンスグラスを使用
• 炭酸がぬけないよう、ソーダは1本まるまる使い切る
• ソーダの量にあわせて、ウイスキーも60mlくらいと多めに入れる
ボトルキープが全盛期だったため、「どんどん飲んでもらってボトルを早く空けたい」という、お店側の商売的な都合もあったとか、なかったとか。
本物の「神戸スタイルのハイボール」?

実は、このつくり方がいまの「神戸スタイル」のルーツだと言われています。
• いまの神戸スタイル: グラスもウイスキーもすべて冷凍庫でキンキンに冷やし、氷を入れない
• むかしの神戸スタイル: シンクに張った氷水でソーダだけを冷やし、氷を入れない
冷やし方や提供時の温度が違うと、ひきたつ味わいもかなり変わります。
すべてを冷やす今のスタイルは、2000年代以降にメーカーなどがプロモーションの一環としてつくりだした「あたらしいスタイル」だという説もあります。

むかしのままの「クラシックな神戸スタイル」で提供しているバーは、いまはとても希少です。
(お店がせまくて、台下冷蔵庫が置けない古いバーなどにそのまま残っていたりします。)
どこかで出会えたら、とてもラッキーですね。

(今もやっているかはわかりませんが、昔伺った大阪の『路』さんや長崎の『ランプライター』さんなどはクラシックスタイルでつくっていた記憶があります)
バーテンダーの技!濃いめ・飲みやすいのコントロール

むかしのバーテンダーさんたちは、ベースとなるウイスキーの種類が少なかった分、おなじ材料でもお客さんにあわせて味わいを変える工夫をしていました。
味わいをコントロールするテクニック
• 一口目を濃く感じさせる: 先に炭酸を注ぎ、その上にウイスキーを浮かべる
• 飲みやすくする: クラッシュアイスをつかう(よく冷えて炭酸もやわらぎ、氷もとけやすいのでスイスイ飲める)
ほかにも、こんな細やかな工夫が
• 氷をひとつだけにする
• ウイスキーを氷にあてて注ぐか、あてずに注ぐか
• 注いだあとにあえてステア(混ぜる)して少し炭酸抜くか、せずにゆっくりと炭酸を注いで泡を強めるか
• グラスの飲み口を冷やすか、氷は水に濡らし角をとっておくかおかないか
• ウイスキーの風味、炭酸の強さ、温度変化など、どこを一番大切にするか

お客さんが疲れ気味の日はいつもより優しくつくったり、おなじオーダーでも1杯目と2杯目でほんのすこし味を変えたり。
オーダーする人や相手の状況にあわせて、つくり方を変えていたそうです。
何気ない動作にみえて、実はぜんぶに意味が込められているんですね。
(水割りのほうがメジャーな時代もあったので、水割りにもおなじくらいたくさんの工夫がありました。)

あと有名なのは「スーパーハイボール」と言って、ブレンデッドウイスキーのハイボールの上に、その原酒となるシングルモルトを少量浮かべたりする飲み方も一時期流行りました。

わたしの好きなハイボールは、昔訪れた神戸元町にあったセレナーデさんのハイボールです。
氷は大きめのを一つで、指定された銘柄のハイボールを作り、その上に少しだけ元のウイスキーをフロートしていました。一杯で味わいが変わり、とても飲みごたえのあるハイボールで美味しかったなあ。
むかしのハイボール・比較表 まとめ
今回ご紹介したハイボールのスタイルを、ひとめでわかるように表にまとめました。
現代のハイボールとくらべてみると、ちがいがよくわかりますよ。
| スタイル | 時代背景 | ウイスキー | 炭酸水 | 氷 | グラス | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| オールド・オールド | 冷蔵庫や氷が希少な時代 | 常温 | 常温 | なし | 分厚いグラス | むかしのままの究極のクラシックスタイル。 |
| オールド (クラシック神戸) | 1980年代ごろまで | 常温 | 氷水で冷やす | なし | 10オンス (大きめ) | ソーダ1本を使い切り、ウイスキーも多めに入れる。 |
| 現代の神戸スタイル | 2000年代以降〜現在 | 冷蔵庫等で キンキンに冷やす | 冷蔵庫等で キンキンに冷やす | なし | お店による | すべてを冷やす新しいスタイルとして定着。 |
| 現代の一般的なハイボール | 現代 | 常温が多い | 冷やしておく | あり | 8オンス等 | 氷を入れてしっかり冷やし、炭酸を効かせる。 |
むかしのバーテンダーさんたちは使える機材や材料が限られており、洋酒は舶来品としてかなり高いので種類も少なく、コスト面での制限も多かったと聞きます。
そのなかで行われていた工夫で、同じハイボールでもぜんぜん違った味わいを作り出すことで、ボトルキープしていても飽きないように提供していたそうです。

今はいろんな銘柄が手に入りやすいので、次から次へと試していくのもそれそれで楽しいですが、
作り方を微妙に変えてつくってみても、いつもの銘柄の違う一面が感じられたりして楽しいですよ。
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