海峡蒸溜所の情報を簡単にまとめるとともに、実際に蒸溜所に行った見学風景、プロのバーテンダーのテイスティング結果などもご紹介します。

この記事を読めば、兵庫県明石市にある「ウイスキー波門崎」や「東経135度ジン」を生産している『海峡蒸溜所』のずべてわかります。
海峡蒸留所とは

・兵庫県明石市にある明石酒類醸造が運営する酒蔵&ウイスキー・ジンの蒸留所。
・創業当初は醤油蔵だったが、1960年より日本酒の製造をはじめる。
・オランダのモスバーン社の出資をうけ、2017年よりウイスキーの製造に着手。
(コロナにより遅れ2022年より蒸留器を2基に増やして本格的に製造)。
・海峡蒸溜所は出資元のモスバーン社がスカイ島に開設したトルベイグも所有していることから、トルベイグとは姉妹蒸留所の関係。
・代表的な銘柄は、日本酒「明石鯛」、ブレンデッドウイスキー「波門崎」、ジン「東経135度」。
・生産している商品の95%は海外に輸出しており、日本酒は豪華客船クイーンエリザベスでも振る舞われている。
・2026年ごろより、自社製造100%のシングルモルトウイスキーを販売する予定。
位置)
公式サイト)

蒸溜所見学・訪問レビュー
蒸溜所へ実際に行ってきました。

JR朝霧駅より徒歩約10分ほどで到着。
・麦芽

スコットランドとニュージーランドより輸入している。
粉砕機がないので、粉砕された状態で輸入。

ハウススタイルが確立されるまでは全てノンピートだそうです。
・マッシュタン(麦汁をつくるところ)

仕込みの水は明石の水道水を濾過して使ってるそうです。
硬度は49〜60の軟水です。

バナナケーキのような甘く芳ばしい香りがしました。今は手作業で投入しているそう。
・発酵槽

発酵にはスコットランドから輸入したドライイーストを使用。

温度調節機能があるものないもの、アカマツやステンレスなど、実験的に様々なものを使い分けているそうです。開けて顔を近づけて見せてくれるのも小さな蒸溜所ならではです。
・蒸留器

最初は1基のみで初留も再留も行っていたが、2022年より遅れて到着し、今は2基で行っている。
責任者の方々が日々できあがる原酒を吟味しながら、ミドルカットの部分を決めているそう。

土日は休止していますので、ひんやりとした蒸留器に触らせてくれました。大きな蒸溜所ではそういうことはさせてくれないので、とても嬉しかったです。
・樽

ヘヴンヒル社のバーボンバレルがありました。他にもまっさらな大きめの樽など、多種多様な樽で熟成させているそうです。

熟成庫の場所は「明石の海辺」にあるとのことです。(細かい場所は非公表)。
・レセプション・試飲会場


見学代金(2000円)分の無料試飲(日本酒・ジン・波門崎)のほか、姉妹蒸溜所のトルベイグやモスバーンも試飲できます。追加の試飲は有料ですが、試飲したぶんだけ購入した商品の金額を割り引いてくれます。

製品ラインナップ&テイスティングレビュー
波門崎(はとざき) ブレンデッドウイスキー
現存する最古の石造りの灯台「波門崎灯台」から命名。
12年ものの輸入ウイスキーが中心にブレンドに使用されているブレンデッドウイスキー。

潮っぽさ、若いグレーンのアルコール感があるものの、奥になめらかな甘さも感じるボトル。
ハイボールで飲むことをオススメします。
試行錯誤が伺える銘柄。今後に期待ですね。
波門崎 ピュアモルトウイスキー
波門崎のピュアモルトタイプ(グレーンが入っていないモルトウイスキー)。

シルキーなバニラ感と優しい果実感、アルコール感をほとんど感じない、なめらかで飲みやすいウイスキーでした。こちらはどんな飲み方でも美味しく飲めそうです。
私は正直、ブレンデッドよりもこちらのピュアモルトタイプのほうが圧倒的におすすめです。
トルベイグ
・海峡蒸溜所と資本提携している姉妹蒸溜所の『トルベイグ』。
・2017年に稼働をはじめたスカイ島第二の蒸留所。
・ヘビリーピーテッドのモルトウイスキーを製造。「ウェル・テンパード(しっかりと調律された)なピート香」が持ち味で、フェノール系の薬品感はないのが特徴。

塩っぽさとスモーク、バニラ系の甘味さもあり、若いながら雑味も少なく完成度が高い
タリスカーはもちろん、日本の厚岸がお好きな方にも一度は飲んでいただきたいです。
モスバーン ブレンデッドモルト アイラ
・トルベイグを所有している親会社からリリースされているブレンデッドモルトウイスキー。
・「モスバーン シグネチャーカスクシリーズ」の「アイラモルト」バージョン。
(スコットランドの各地域のモルトウイスキーの特徴を表現したシリーズ、アイラモルトを中心にブレンドされている。グレーンは入っていないモルトウイスキー)。
・より味わい深い逸品となるよう、各地域のモルトウイスキーに独自のシグネチャーカスクを使用している。

荒々しいスモークと潮感、クセのあるウイスキー好きなはたまらない飲みごたえのある銘柄でした。
加水したり、ロックやハイボールでも楽しめそうなアイラ系オールラウンダーです。
モスバーン ブレンデッドモルト スペイサイド
・モスバーン シグネチャーカスクシリーズのスペイサイドバージョン。

スペイサイドならではのまったりとした濃厚な甘み、バニラやメープルシロップのなめらかな甘みと若干のシナモン系のスパイス。
ブレンデッドモルトだからこそ実現できる価格、コストパフォーマンスも考えると非常に良い銘柄です。甘口ウイスキーがお好きな方へ非常におすすめです。
東経135度(ジン)
日本標準時となる東経135度の子午線が通る兵庫県明石市は
「時のまち」と呼ばれていることから
地元明石を象徴する東経135度にちなんで東経135度兵庫ドライジンと命名。
重厚感溢れるロンドンジンのレシピをベースに、
香り立つ柚子と山椒、煎茶、大葉や梅がボタニカルとして加えられている。

梅以外は兵庫県産のボタニカルが使われているそう。隠し味として蒸留した純米酒を少し加えているせいか、ほんのりと甘みも感じられる品とコクのある香りの、フルボディで美味しいジンでした。
明石鯛(日本酒)

※画像左です。95%が海外向けとあり、日本国内ではそこまで流通していないようです。

フルーティーでエステリー、パイナップルのような爽やかな甘みのあるものから、料理に合うスッキリとした飲み心地のものまであり、とてもおいしかったです。
その他にゆず酒(画像右端)や梅酒もあり、とくにゆず酒は酸味とフレッシュ感が際立っており、とても素晴らしかったです。
海峡蒸留所まとめ
日本酒の酒蔵でもありますので、ウイスキーをつくっている隣で日本酒も生産していたりなど、他ではなかなかできない見学ができるのも魅力の海峡蒸溜所。

ブレンデッド用のバルクウイスキーもオープンに見させてもらえるなど、大手メーカーさんではありえないほど寛容な蒸溜所で、非常に好感がもてました。
駅からのアクセスもよく、個人的にはウイスキーのみならず日本酒の製造過程も見ることができ、姉妹蒸溜所のウイスキーやジン、リキュールなど多種の試飲もさせてもらえますので、総合的にとても楽しかったです。
見学に行かれる際は、前日から納豆などの発酵食品は控えてくださいね(日本酒の麹に影響するおそれがあるため、禁止されている)。
補足
※ウイスキーや酒類をお得に購入したい方は、酒屋さん店頭での購入もおすすめします(送料がかからないため)。
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