本記事では1000銘柄以上飲んできた私のバーテンダーとしての経験をもとに、2020年代に入ってから評価が急激に上昇したシングルモルトスコッチウイスキーの銘柄の中から、11銘柄、自信を持ってオススメできる良いものだけを厳選してご紹介します。
世界的にみても今後需要と物価が上がっていくなかで、ウイスキーはいつだって『今』が一番の飲み時です。
感動するほど美味しいウイスキーを見つける、一助になれば幸いです。
トロピカルフルーツ香る『ロッホローモンド』
2021年になってから急激に評価を伸ばしている蒸留所です。まだまだマイナーな銘柄でプレミア価格がついていませんので、今回ご紹介する中ではコストパフォーマンスでは群を抜いているシングルモルト。
特殊な蒸留器を使っており、非常にクリーンな酒質です。年数やモデルによって種類は違いますが、どれもハッとするほどフルーツ香りが感じられます。
(ロッホローモンドはオイリーでゴムっぽい個性的なオールドボトルよりも、現行品のほうがフルーティで評価が高い銘柄です)
スタンダードの12年は青りんご、熟した洋梨と爽やかな柑橘と穀物の香り。濃厚な旨みと仄かなピート香を持ち、この蒸溜所にしか産み出せない味わいです。
個人的なオススメは下記の全米オープン記念ボトルです
こちらは、ワイン酵母を使用した発酵液を蒸留することで、いきいきとした桃や洋梨の味わいが表現されています。樽由来のクリーミーなバニラと、メープルシロップの甘み、そしてほのかなスモーキーさが絶妙のバランスで余韻へと続きます。
ドライフルーツ感じる『ベンネヴィス』
干し草のような香りのオールドボトルよりも、ドライフルーツ香る現行品のほうが飲みやすく評価が高い銘柄。特にニッカウヰスキーがオーナーになって数年経ってから、生産過程が変わったのか、評価がうなぎのぼりです。
現行品のスタンダード10年も、ドライフルーツやバニラ感があり、バランスの良い銘柄です。(海外ではこのタイプは生産中止、モデルチェンジしたとの情報もあります)。
特にベンネヴィスの1996年や1997年は『ビッグヴィンテージ』や『当たり年』といわれています。
実際に数種類飲みましたが、どれもトロピカルフルーツの香りに圧倒され、ふくよかで思わず頬が緩むほど素晴らしい出来でした。
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なめらかで清らか、安定して高品質な『アラン』
1996年の蒸溜所操業開始から、シングルモルトウイスキーとしてリリースされだした当初は誰も見向きもしなかったウイスキーですが、2010年代後半から素晴らしいウイスキーをリリースし続け、今や入手困難なものも増えてきました。
なめらかでクリーン、嫌な癖のないものが多く、どれもコストパフォーマンスに優れハズレのない優秀な銘柄です。
10年は蜂蜜、砂糖漬けのシトラス、バターキャンディなどを感じられ、アランの特徴である清らかさとフルーティさ、モルトの味わいを感じられる、 フラグシップアイテムです。
個人的にオススメは、下記のシェリーカスクです。
チョコレート、レーズン、マンダリンオレンジの香りから、完熟イチジクやチェリー、ナッツがふくらみ、余韻にトーストしたオークのビター感が心地よく尾を引きます。
シェリー樽熟成が存分に発揮され、アランの高品質な酒質とバランス良く調和しています。
洋梨の爽快感と桃の香りの『グレンフィディック(ウォードヘッド、バーンサイド)』
価格の上昇が止まらないシングルモルトウイスキー界では驚きのコストパフォーマンスを発揮し続けているグレンフィディック。
スタンダードの12年は洋梨の香りがし、デイリー・シングルモルトとしては他の追随を許さない仕上がりです。
(他のウイスキーが値上りしているなか、フィデックだけはそこまで価格が変わっていないのも驚きです)。
優しくあっさりとした味わいですので、ロックや水割りはもちろん、ハイボールにしても、甘みが引き立ち、苦味や硫黄臭などの嫌な部分がでず美味しく飲めるのも魅力。
下記のような超熟のハイクラスのタイプは、フルーティな桃の香りが特徴的。余韻も長く、誰が飲んでも美味しいので、特にオススメです
甘くシルキーな濃いバニラの『グレンマレイ』
シルクのようななめらかさが特徴のグレンマレイ。
バニラ香るウイスキーを求める方ならこの銘柄がオススメです。
スタンダードも甘く暖かみのあるまろやかな味わいで、とても良いバランスのシングルモルトです。
特におすすめなのが、下記のようなバーボン樽の原酒タイプのボトルです
バーボンバレルでの熟成ですので、通常よりも樽の影響が強く(バニリンなどの成分)、甘く濃いまったりとしたバニラ香がより強く濃厚に堪能できます。
フルーティさとオイリー、ビターな余韻の『ブナハーブン』
ほんのわずかしかピートを焚いた麦芽を使わないため、アイラウイススキーのなかでは癖がなく柔らかい銘柄。(仕込み水も他のアイラとは異なった性質の水を使っています)
華やかな香りとフレッシュな酸味、フィニッシュにほのかな潮の香りが調和して、穏やかながらもバランスの良い味わいに仕上がっています。
特に、80年代後半のノンピートの時代は『当たり年(ビッグヴィンテージ)』と言われ、あふれるフルーツ香と潮っぽいアクセントがたまりません。
ヴィンテージウイスキーはどんどん価値が上がっていきますし、97年からほんの少しだけピート麦芽が使用されだしていますので、この香りと味わいは今しか楽しむことが出来ません。
濃厚なレーズンやチョコレートの『グレンアラヒー』
近年になって良いシェリー樽熟成のものが増え、評価が上昇してきている銘柄です。
グレンアラヒーはクリーンな酒質から「個性がないのが個性」と言われていましたが、昨今はリッチで濃厚なシェリーカスク熟成のボトルが多く、新たに生まれ変わってきている印象です。
そのなかでもシェリーカスクのものは、今となっては希少になってしまった高品質なシェリー樽熟成ウイスキーの醍醐味を存分に楽しむことができます。
溢れ出すレーズンの香り、バタースコッチのこってりとしたアロマ、オレンジピールやダークチョコレート、シナモンやクローブといった甘いスパイスの幸福な余韻。
シェリー樽熟成によるリッチで濃厚な味わいを求める方にはうってつけの銘酒です。
オフィシャルのシェリー樽熟成がおすすめです(即完売の人気銘柄ですので、見つけたら幸運です)。
ポートウッドフィニッシュもフルボディで濃厚なおすすめの一本です。
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華やかな「モルトの香水」『スプリングバンク』
近年人気が高まり、年々入手困難になってきているスプリングバンク。
かつては「モルトの香水」と呼ばれ、全世界にファンが多いのもうなずけるほどの華やかで上品な香りと味わいです。
どのタイプも全て安定してとても素晴らしい出来ですが、近年は世界的な需要増大から入手困難、プレミア価格になってしまっています
柑橘やハーブ香る『クライゲラヒ』
知る人ぞ知るホワイトホースの原酒、クライゲラヒです。
冷却装置が特殊なこともあり、オイリーでややツンとした香りの個性的でおもしろい酒質をもっています。
柑橘系やハーブ感、ツンと来るフルーティさ。他のウイスキーでは味わえない唯一無二のキャラクターです。
変わり種や爽やかなウイスキーを求める方におすすめです
アプリコットやオレンジの『アルタベーン』
シーバスリーガルなどのブレンデッドウイスキー用に回されるため、シングルモルトとしてのリリースが少なく、生産数も少ないマニアックな銘柄です。
ブレンデッド用に設立された蒸溜所ですので、繊細でマイルド、デリケートな酒質です。
個性のないウイスキーですが、そのぶん樽の影響を素直に受けるため、力の強い良い樽を厳選して熟成させたものは、あっと驚くほど素晴らしい出来栄えのものが稀に存在します。
数少ない製品のなかでも、下記のタイプは濃厚なフルーツのアロマに圧倒されます
圧倒的なオレンジやアプリコット、黄桃のフルーツ感から、バニラ、香ばしいナッツ、バナナと、口の中で徐々に幸福な味わいが変化していきます。
余韻も長く熟成感もあり、なかなか出会えない逸品です。
2002年から2005年までは生産を一時停止しており(現在は製造を再開しています)、その前に生産されたタイプは今後ますます貴重になっていくでしょうね。
蜜の甘さとスパイシーの『クライヌリッシュ』
ジョニーウォーカーの原酒として使用されるスペイサイドの銘酒、クライヌリッシュです。
スイートなアロマ、モルティな甘み、ほんの少しスモーキーでスパイシーな余韻、
スコッチウイスキーの全ての要素が入った、完全なるテイストが特徴。
立地の影響により、ほんの少し海の気質を持ちながらも、はっきりとした、やわらかさ・複雑さというハイランドの特質も兼ね備えています。
食前、食後を問わない、完璧なオールラウンド・ モルトウイスキーです。
ウイスキー愛好家の方には常備されている人も多いのではないでしょうか。ストローで一滴ずつ少量の水を入れると、より芳醇な香りと味わいに変化していきます。
私のおすすめNo.1
ご紹介した中から、私が個人的におすすめする1本はコチラです。
ロッホローモンド&グレンフィディックです(2本になりましたすみません)。
入手しやすさ、コストパフォーマンスを考えると、ちょっと他には考えられないほど、圧倒的に良質なシングルモルトです。
グレンフィディックは一度は飲んだことがある方が多いと思いますが、改めて飲みなおすと良さが噛みしめられます。
どちらもロックでもハイボールでも美味しく飲めるのも高評価のポイントです。
フルーティーなウイスキー銘柄 まとめ
今回はトロピカルフルーツ、桃、チョコレート、バニラ、レーズン、オレンジなど、特徴的な香りや味わいに感動するほど素晴らしいウイスキーをご紹介しました。
今はもう手に入らないオールドボトルではなく、現在どんどん評価が上がっている現行品の中から厳選しました。
自信を持ってオススメできる銘柄しか選んでおりませんので、気になる銘柄があればぜひ一度お試しください。
思わず笑顔になるほど素晴らしいウイスキーと出会い、みなさまの口福な世界が少しでも広がれば幸いです。
爽やか・華やかなウイスキーをお探しの方は下記記事もご参考ください)
補足
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