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【ベンネヴィス1996】ウイスキーの「当たり年」の秘密

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ウイスキーの「当たり年」とは

ウイスキーにも「当たり年」があることをご存知でしょうか?

ウイスキーは蒸留酒ですので、そこまで年によって味わいに大きな差があるわけではなありません。

本場のワインなどは生産過程が厳しく規定されているので、作られる年の環境によって大きく異なり、「〇〇年に一度の出来」や「〇〇年にの〜〜は素晴らしい出来」などとよく言われます。

ですが、ウイスキーも蒸留所によっては「当たり年」と呼ばれるほど、その年に蒸留されたものが素晴らしい出来のものばかりの場合があります。

生産方法や原料の変化のタイミング、その年の熟成に使われる樽の良し悪しによって、「当たり年」「ビッグヴィンテージ」と呼ばれるものが稀に生まれます。

例えば、

1972年のロングモーンやクライヌリッシュ

1974や76のトマーティン

1976のベンリアック


80年代のパフューム香のボウモア(リリース当初は不評だったが、今となっては大好評)

80年代後半の非常にフルーティなブナハーブン

このように、銘柄ごとに「当たり年」があるにはあるのですが、2021年現在、上記の銘柄はどれも希少性が高く、気軽に飲める価格での入手はとても難しいです。

ベンネヴィス1996とは

その中で、近年の「当たり年」「ビッグヴィンテージ」と呼ばれるのが、


1996年蒸留のベンネヴィスてす。

(補足:97も同じく「当たり年」と好評です)

前項で挙げた銘柄はどれも非常に高価になってしまいましたが、
1996年〜97年のベンネヴィスは、今のところまだ入手しやすい
です。

特筆すべきはそのフルーティさです。

一口飲めば、口いっぱいに南国フルーツの風味が炸裂します

うっとりするような完熟したマンゴーやパイナップルのトロピカルフルーツ、その香りの奥からトフィー、蜂蜜からウッドスパイス、フィニッシュには上品な紅茶の爽やかなビターが全体をきれいにまとめています。

私はボトラーズからリリースされているベンネヴィスの1996、97を5,6種類飲みましたが(ウイスキートレイルやサンジバー、クラクトンズやヘンプスパローなど)、細かい樽のディテールは違いますが、どれも思わず笑顔になってしまうほどフルーティで、非の打ち所がない仕上がりでした。

2018年ごろから、1996や1997年のベンネヴィスが様々なボトラーズメーカーからリリースされてきましたが、

現在すぐに購入可能なものは限られてしまっているようです。

(スペック、テイスティングノートをみた限り、現在すぐに購入可能のもので96,97に近いものはこの2本でした。)

どちらも、高品質のウイスキーを発表し続け、世界的に名高く、リリースされる商品が軒並みすぐに売り切れてしまう非常に人気のボトラーズメーカーです。

ブティックウイスキー ベンネヴィス

スピリッツ ショップ セレクション ベン・ネヴィス

他からも、今後のリリースに期待したいですね。

ベンネヴィス・味わいの変遷

2000年代以前のスタンダード
『ベンネヴィス10年』

こちらの味わいは、

ヘザー、乾いた草の香り、糖蜜の甘さ、ややドライでわずかにヨード香とスモーキーさ

と、どちらかといえばマニアックで通好みの味わいでした。

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それに比べて、現行品の『ベンネヴィス10年』は、

フローラルな香りやパイナップル、ハチミツの甘さやマスカットの爽やかさ


と、ウイスキー業界にしては珍しく、オールドボトルよりも現行品になってから評価が急上昇しました。

近年になって、コストパフォーマンスとも、誰もが認める味わいになったと好評です

スタンダードでも最低10年以上熟成の原酒が使われており、非常にフルーティとのことで、

今(2021年)の現行品にも、1996や1997年前後の「当たり年」の原酒も使用されているかもしれません。

旧ラベルのオールドボトルと現行品では、本当に同じ蒸溜所のウイスキーかと驚くほど違うので、機会があれば飲み比べてみてもおもしろいかもしれませんね。

1996が「当たり年」になった理由

ベンネヴィス蒸留所は、幾度かオーナーが変わり、現在は日本のニッカウヰスキーが所有者となり製造し、販売を親会社のアサヒビールが行っています。


買収したのが1989年のことで、1990年9月から親会社のニッカウヰスキーのもと、製造が開始されました。

これをきっかけに、玄人好みのウイスキーから、より多くの日本人の嗜好に合うウイスキーへと変貌したのかもしれません。

また、1990年代〜2000年代にかけて、ウイスキーの生産体制は大きく変わりました。

蒸留器の加熱方法も石炭直火方式からスチーム方式に変更されたり、コンピューターの発達により、発酵から蒸留までの管理体制がより緻密に計算できるようになりました。


より生産に適した新しい麦の登場や、酵母もドライイーストからリキッドイーストに変わるなど、
資本の投下もあり、90年代〜2000年代にかけてウイスキーの生産現場は変化が大きい時代でした。

90年のニッカウヰスキーの買収から徐々に変化してきたのが、96年97年に花開いたのかもしれません。

ウイスキー 当たり年 まとめ

今回は、


・ウイスキーの当たり年について

・ベンネヴィスの時代ごとの味わいの変化

・蒸留所の変遷について(『当たり年』が生まれた背景)


について書きました。

現在市場の拡大と資本の投下によって生産効率が重視され、ますます工業化されていくウイスキーにとって、

今後「当たり年」と呼ばれるシングルモルトがでてくるのかは未知数です。

ウイスキーは時が経つごとに希少性が増して価格も上昇しやすいので、


トロピカルフルーツの香りのする当たり年の『ベンネヴィス 1996、1997』


スタンダードのベンネヴィスと併せて、手の届くうちに、ぜひ一度お試しください。


(私は4種類ほど飲みましたが、とれも思わず頬が緩むほど素晴らしい美味しさでした)

補足

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